「柱状節理」の断崖は、各地で目にする機会も多く、そのシンプルで美しい造形は写真映えすることから、地形系の被写体のなかではカメラマンに人気がある。
節理(岩の割れ目)は、溶岩が冷えて固まる方向に沿ってできる性質がある。通常は空気に触れる溶岩の表面から中に向かってできていくが、実際は真っすぐで垂直方向の柱状節理ばかりではなく、斜めに傾斜したものや、扇状に広がったものなど、その表情は多彩である。
「なぜそのような節理ができたか?」、それを想像すると無口な岩壁にも動的なイメージが湧いてきて楽しくなる。
【芥屋の大門】
「けやのおおと」と読む。芥屋の大門は、およそ320万年前、花崗岩の岩盤から噴出した玄武岩質溶岩が冷えてできた。その柱状節理は、陸からは見ることができなく、遊覧船(冬季は運休)からの見学となる。船が港を出る際、正面の山に見える茶系の丸い岩が、このあたりの基盤となっている花崗岩である。港を出て舵を右に切ると、硬質な玄武岩からなる芥屋の大門の尖った姿が目に入る。手前の海岸線には、断崖から脱落した黒い玄武岩の岩が無数に転がり、その重い色も印象的である。