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自然風景を被写体とするカメラマンをやっているので、一般の人よりかなりの数の滝を見ています。川や沢の一定の段差を流れ落ちるのが滝ですが、児童画に描かれるようなまっすぐに流れ落ちるようなものばかりではなく、その表情は驚くほど多彩です。滝巡りの楽しさはその個性に出会うことにあると言ってもよいでしょう。そのなかでも兵庫県新温泉町にある「シワガラの滝」の特異度は群を抜いています。落水により岩盤が浸食され、できた半洞窟のなかに入って滝と対面します。落差のある滝ではありませんが、足元を濡らし、洞内に響く滝音を聞きながら飛沫を全身に浴びるという体感型の滝なのです。
国道9号から駐車場まで
シワガラの滝への道は、登山道としては特別に険しいわけではなく、日ごろから山歩きをしている人にとっては「初級」レベルと考えてよいでしょう。ただ谷底の降下点から滝のある洞窟までは距離にして100m程度ですが、荒れ気味の沢を歩くので、多少のルートファインディングは要求されます。できれば滝まで行ったことのある人の同行が望ましく、まったくはじめての場合は「中級」レベルと考えて下さい。明瞭な道はありませんが、沢の流れの最奥が滝なので迷うことはありません。また逃げ場のない谷底のため、沢の水位については敏感になる必要があります。数日前からの降雨状況や当日の雷雨の有無などに気を配ります。
シワガラの滝があるのは兵庫県と鳥取県の県境にある新温泉町です。国道9号線を走り、県道262号とのT字路を曲がります。国道には「シワガラの滝」の案内はなく、「上山高原」の指示に従います。曲がってすぐにある「おもしろ昆虫化石館」では、滝の最新情報を得ることも可能で、滝に最も近いトイレもここになります。県道をしばらく行くと、右上に鋭角に曲がる道に出合います。ここも「上山高原」の指示に従い右折します。棚田の休耕地を見下ろし、海上の集落を越えて林道に入ると10分程度で路肩にある小さな駐車場に到着します。
谷への下降
駐車場にはトイレや自販機などはありません。また携帯電話の電波は、この周辺でギリギリ受信可能で、谷に入るとほぼ繋がらなくなります。登山道は九十九折の登りとなって尾根を越えるところから始まります。急坂ですが距離は短く、足慣らしのつもりでゆっくりと登ります。登り切った尾根上には桂の滝への分岐があり、さらに休耕地の納屋の脇を抜けるとそこからは谷底まで一気に下ります。途中に鎖場がありますが、ここで怖さを感じるようなら、その先の谷底の歩行は難しいと思われます。安全のために引き返した方がよいでしょう。駐車場から30分程度で谷底に降り立ちます。
神秘の対面
ここから滝までは約100mほどと距離は短いのですが、目指す滝が洞窟の中に入るまで一切見えず、目標が定まらないので、はじめて来た人は不安に感じると思います。沢の最奥が滝なので、その流れを目で追いながら、一番安全と思われるところを選んで歩きます。洞窟の狭い入口も水位が低いと靴を濡らさずに入れますが、大抵は長靴がつかる程度の水かさがあります。大雨のあとなどは膝上くらいまで水位が来ることもあります。
あとは滝との対面を楽しみに暗い洞内に入って行くだけです。
取材日:2017年10月26日
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コメント
コメントありがとうございます。
一泊されるようなら猿壺の滝にも行かれたらどうでしょう?
迫力はないですがキレイな滝です。
竹下
以前から行きたいと思っていた滝です 大阪から日帰りでも行けそうですが、一泊したほうが周辺も散策できそうなので宿をとります
くわしい道順ありがとうございます