桜島昭和火口 鹿児島県鹿児島市

地形を撮る者としては、火山の噴火はどうしても撮っておきたいシーンのひとつです。多少物語的発想ではありますが、あらゆる地形は「火山の噴火」から始まると思えるからです。噴火により新たな岩が生まれ、陸ができるという解釈です。そしてそれを比較的容易に、しかも安全にかなえてくれたのが桜島でした。

ニコンD610 VR24-120mmf4G ISO400・f8・62秒 晴天 2016年3月26日2:50撮影

昭和火口の噴火頻度を調べる

鹿児島地方気象台のホームページのなかの「県内の火山資料」には、その年に桜島が噴火した月日と時刻が一覧になっています。また過去年の動向についても月別にまとめられています。それを参考にしながら桜島の火山活動の様子を探ります。過去の表を見ると2015年の後半あたりから噴火の回数がかなり減っており、それが現在(2017年7月)まで続いている印象です。噴火との遭遇を望むなら、火山活動の活発な時期がいつかを見極めることです。ただし同時に桜島の最新の火山情報にも注意を払いましょう。

道の駅「たるみず」より眺める桜島。昭和火口より薄く噴煙が上がっている。ここからも噴火は撮れる。

黒神地区の埋没鳥居。大正大噴火の際に火山灰によって埋まった鳥居。

昼間見る昭和火口。火口が見える位置ならどこからでも撮影可。

桜島の噴火を撮る

私自身はこれまでに4度桜島に行っています。最初は2012年5月で、仕事で屋久島に渡る予定日の3日前に鹿児島に入り、桜島の噴火撮影に当てました。はじめての桜島だったので島の外周道路を何度も走って島の見え方などロケハンを行いました。夕方になると黒神地区周辺の路肩に地元のカメラマンが三脚を立てはじめたので、撮影の様子や噴火の前兆などを聞いて回りました。

気象台の資料を見ると、2012年5月の桜島の噴火回数は89回でこれを30日で割ると、確率としては一日に2回程度の噴火があることになります。短時間に続けて噴火が起こることはあまりないので、昼夜に1回ずつという期待値が単純計算で得られます。しかしこの時は2夜連続で徹夜をしましたが噴火は撮れませんでした。

その後は、3度ほど南九州方面の撮影の合間に桜島に立ち寄って撮影を行いました。ようやく噴火に遭遇できたのは2016年3月でした。この月は月間でも14回(昭和火口は8回)の噴火のみで、遭遇率としてはかなり低い時期でしたが、前々日より1日~半日ペースで噴火が続いており、そこに期待を掛けての立寄りでした。

日没前の明るい間に桜島に入り、昭和火口にレンズを向けて待機します。オートフォーカスでピントを合わせておき、セット後はマニュアルフォーカスにして待機します。降灰対策と結露防止対策を施せば準備完了です。車の助手席の窓を少し開け、そこからケーブルレリーズを車内に垂らし、自分は助手席に座りウィンドウ越しに火口を監視します。

23時を越えると何度もうたた寝をしてしまいます。昼間もしっかりと歩き回って撮影をしているので徹夜などできるはずもありません。目が覚める度に一応テスト撮影を行い、露出のチェックと噴煙の状況を確認します。何度かの露出チェックのためにシャッターを押した数秒後に火口から火柱が上がりました。

噴火の際は大きな爆発音を伴うイメージがありますが、その時は音もなく火炎と黒煙が吹き上がりました。無音が数秒続いた後に、今度は激しく何かがぶつかり合うような音が空から聞こえ稲妻が走りました。火山弾が空中で衝突する音と、そのことで発生する「火山雷」です。そして真っ赤な溶岩が放物線を描いて降り注ぎ、山の斜面を駆け下って行きました。

心臓が飛び出るくらいに興奮をしているのですが、火山弾の様子を見ながら冷静にシャッターを閉じるタイミングを図ります。だいたい60秒、火口周辺に明るさが消えかかるのを確認してシャッターを閉じました。直後、カメラのモニターに現れた撮影画像を見て歓喜の雄叫びを上げました。その後は火山灰が降る前にカメラ・三脚を片付け、近くの道の駅で祝杯(飲めないのでジュースで)を上げて寝ました。興奮して深くは寝られませんでした。

翌朝起きると、車には薄っすらと火山灰が積もっていました。地元の人からすると無いに等しい量の火山灰だと思います。タオルで窓ガラスの火山灰を叩きながら、この山が大きな災いを起こさないことを願わずにはいられませんでした。

垂水市街地を背に国道220号を走った先から見る桜島

噴煙を上げる昭和火口。一面の火山灰により無表情と化した火口周辺が不気味。

取材日:2012年5月27日~29日・2016年3月26日

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