結晶片岩の片理模様が美しく、抽象絵画をイメージして平面的に撮ってみたが、できた写真はまったくおもしろくなかった。後から考えればそれは当たり前のことで、絵画に不可欠なポイントや強弱の変化が天然の岩の模様にあるはずもなく、被写体を見誤ったことになる。撮り直しにやって来たが、今回は片理模様を前景に強調しつつも、奥行きを意識した。
【長瀞の結晶片岩】
長瀞は日本地学発祥の地で、今風に言えば「聖地」である。荒川の川岸に広がる岩畳は、太古の付加体が地中深くで変成作用を受けたもので、片理と呼ばれる薄い岩片が重なったような模様が見られる。