ひと昔前の観光鍾乳洞は、派手なカラーセロハンを多用した照明が施され、撮っても作品にはならなかったが、今は省エネのこともあり、昼光色系のLEDに変わってきた。そのお陰で鍾乳石の固有色が正確に写るようになり、相当積極的に作品として撮影することができるようになった。写真は、たまった地下水の水面に天井から下がる石筍が映り込んでいる。千枚田のような鍾乳石の造形と重なって水中を覗き込んでいるような不思議な世界に見える。
【秋芳洞】
秋芳洞をふくむ巨大な石灰岩エリアである秋吉台は、東西約18km、南北約8kmの日本最大のカルスト台地である。石灰岩のもととなったのは、約3億年前にはるか南方の太平洋沖で噴火した火山島のサンゴ礁である。それらが海洋プレートによって運ばれて、後に日本列島となるユーラシア大陸の外縁部に付加された。
地表のドリーネと呼ばれる窪地とその地下にある鍾乳洞の繋がりを意識するとカルスト地形のイメージが膨らんでおもしろい。