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久米島へは、一度沖縄本島を経由し、飛行機かフェリーで行くことになります。早いのはもちろん飛行機ですが、本島から100km足らずの距離にあるので、フェリーであっても3時間程度で到着します。個人的にはフェリーを薦めます。船で海を渡ることで「島に行く」というリアルな実感と、本土との隔絶感が意識に刷り込まれます。島の風景を見る場合、この意識があるのとないのでは見え方や感じ方が変わってきます。本当は沖縄本島ですら船で渡った方がいいのでしょうが、さすがにそれは時代に合いません。
火山岩の島 久米島
久米島は、沖縄の島のなかでは珍しく火山岩が主体となっています。地質図の公開サイトで久米島の地質図を見ると、空港のある島の西側や他の沿岸部は、他の沖縄の島の海岸部でよく見かける「琉球石灰岩」からなりますが、それ以外は安山岩などの火山岩からできています。畳石の柱状節理や立神岩の岩脈など、沖縄本島はもちろん、その先にある宮古諸島や八重山諸島を見ても、このような火山とかかわりのある地形は見当たりません。私たちは行政の区切り毎にものを分けて見てしまう習性がありますが、久米島は、地質的には他の沖縄の島とは違う区分で見るべきなのでしょう。専門家の間では沖縄トラフの拡大と久米島の火山岩の由来が調査されているようです。
「金太郎飴」の畳石
久米島を代表する奇岩風景はなんと言っても「畳石」です。岩礁全面に亀の甲羅を思わせる六角形の模様が広がります。これは「柱状節理」を上面から見たもので、例えるなら、たくさんの鉛筆を隙間なく立てて並べ、それを真上から見るイメージです。波に浸食されて二次元的な模様に見えますが、この柱状節理のマス目はそのまま地中にある岩体にまで続いているのです。
見学に行くなら干潮の時間帯を選びましょう。潮位によっては、岩の大半が海中に沈んでしまうこともあります。
子宝祈願の「ミーフガー」
次の地形の見どころは、史跡である具志川城址に隣接する「ミーフガー」です。縦に細長くあいた岩の裂け目が特徴で、その形状から「女岩」とも崇められ、子宝祈願の対象となっています。
割れ目を境に海側が石灰岩、島側が凝結角礫岩からできています。種類の違う岩の合わせ目は、浸食を受けやすく裂け目となったのです。また周囲の磯を歩くと、褐色をした礫を含む凝灰岩層の上に石灰岩が「不整合」の関係でのっている様子が見られます。この石灰岩は、約6000年前、氷床の融解により海面が上昇した「縄文海進」の際にできたサンゴ礁が元になっています。「琉球石灰岩」とは分けて分類されています。
岩脈の奇岩「立神」
ミーフガーから、すぐの海岸に「立神(タチジャミ)」と呼ばれる聳え立つ岩があります。こちらも、その形状から男性自身になぞらえた信仰があるのかと思いましたが、特にそのような記述はありませんでした。立神へは、駐車場から段丘崖につけられた階段を延々と下って行き、さらに岩の傍までは海岸線を10分ほど歩きます。近づいてみると、その見え方の変化から、岩脈であることがわかります。
岩脈とは、上昇してきた溶岩が、地層の割れ目に入り込み、そのまま冷えて板状になった岩体です。その後土地が隆起し、周囲の岩が浸食されることで、硬い岩脈部だけが板状となって地上に現れます。
その他の見どころ
この他にも、グリーンタフの露頭や海面変化の様子が岩に残る「二重ノッチ」、島尻崎の鳥の口などの地形の見どころがあります。それ以外にも、五枝の松、大ソテツなどを組み入れることでちょうど1日の行程になります。
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コメント
おはようございます。
昨年5月撮影旅行で、奥入瀬・八甲田山で教えていただいたものです。
以前よりこの久米島の記事は読んでいたのですが、
特にこの「畳石」に懐かしさを覚え今コメントを入れています。
私がここ久米島を訪れたのはワンゲル部に入っていた頃で、もう45年も前になります。
通貨はドル、パスポートも作っていきました。
訪れた目的は、久米島での里活動という活動を行うためでした。
農家や漁師の家に入って寝食をともにして日常作業をお手伝いする里活動なのですが、
私は漁師の家にお世話になり、「畳石」の近くで「もずく」採りをしました。
そのため、この「畳石」は強烈に記憶に残っています。
もずくを買うときは沖縄産のもずくを選んで、当時を偲んでいます。
お時間を取りました。