どのような写真でもそうだが、広角レンズで近寄って撮った写真には力強さがある。地形撮影でも常にそうありたいと願うが、被写体の性質上、彫像を撮るように正対することが多い。城ヶ崎海岸の「大淀・小淀」は、亀甲状の柱状節理の上に立てるとあって、広角レンズを足元から使うことができる数少ない場所だ。ファインダーいっぱいに広がる岩の風景に興奮した。
【城ヶ崎海岸の柱状節理】
城ヶ崎海岸は、伊豆高原に聳える「大室山」付近から流れ出た溶岩が太平洋にまで達してできた岩礁である。伊豆半島の地質のなかでもかなり新しい部類で、上空からの写真を見ると、周辺の海岸線が波の浸食で線的になっているのに対して、城ヶ崎海岸は溶岩がドロドロと「流れ出た」感そのままに、凹凸のあるリアス状の海岸線をしている。